第110章

鎌滝泰裕は手首を押さえ、ひどく青ざめた顔をしていた。

「葵、お前の勝ちだ。だが、お前も長くは生きられないぞ」

鎌滝泰裕は壁にもたれかかり、歯を食いしばる。

「M配列がお前の命を喰い荒らしている。母体と融合しなければ、もってあと三ヶ月だ」

葵は彼を無視し、ガラスケースの前に歩み寄った。中には、彼女と瓜二つの女がいる。

「春、ケースの電源を落として」

「えっ? 電源を切ったら、彼女死んじゃうよ」

春はためらった。

「この人は二十年前に死んでる」

葵の声は冷淡だった。

「この身体は、藤原家が残した罪の証にすぎない」

春は唇を噛み、コンソールのエンターキーを叩いた。

青白い光...

ログインして続きを読む